健康・身体の事
長引く慢性痛の人必見|5/9 放送NHK「ためしてガッテン」まとめ
痛みを“脳”で克服!“慢性痛”治療革命
2018年5月9日(水)午後7時30分 放映【5月12日(土)午前0時25分に再放送】された内容の記事です。
※以下、HPへのリンク
痛みを“脳”で克服!“慢性痛”治療革命
目次
慢性痛の定義
“急性疾患の通常の経過に要する妥当な時間を超えて持続する痛み”
※発症後3~6ヶ月以上とされるのが一般的です。
慢性痛の患者は2300万人!
2300万人って大体5人に1人の割合になります。ちなみに腰痛人口が約3000万人と言われていますが、かなり重複する部分がありそうです。
問題なのは、さしたる原因がないという点。“非特異性”とも表現されます。
原因が分からないというのは、不安を増長させます。
- 本当は重篤な疾患を見過ごされているかもしれないという不安。
- 自分が大げさなだけで、本当は大したことない→ 自分がおかしいのでは?と疑心暗鬼になる。
- 自分の苦しみが周囲の理解を得られずに孤立しがち。
- そうした負の感情が重なり合って、より落ち込む
自分も過去、腰痛持ちで苦しんだ時期があります。例えば街で歩いているときに、何の体勢の変化もないのに急に「ピキッッ!」ときて歩くのにも支障がでる。3日ほどすればマシになりますが、何度も繰り返している内に「またなるかも・・・」と不安が付きまとう様になりました。そうすると、普段の生活が楽しめなくなってきます。
扁桃体と側坐核の機能
脳の真ん中にある扁桃体と側坐核。
不安・恐怖・痛みといったネガティブな感情を含む情動の処理と記憶固定の働きをする扁桃体。
報酬系(期待)や扁桃体の働きを調整・制御する側坐核。
※それぞれ、多くの働きがあるのでここでは一部だけ記載してます。
側坐核の働きが弱くなると、扁桃体から発信される痛みが制御されずに過剰に痛みを感じるそう。確かに、仕事がしんどくて、ずっとストレスに感じていた時は腰痛も多かった。。
番組では触れてませんが、扁桃体に関連して興味深い事例としてファントムペイン(幻肢痛)というものがあります。
例えば事故で片脚を切断した人などが、ない腕に痛みを感じる現象です。
本来、すでに存在していない部位で痛みを感じる事はないはずですが、扁桃体が「存在していた時の記憶」に作用し、誤作動が生じさせた。と考えらえます。
側坐核の働きを高めるためには、見返り(期待感)が大事!!
痛みは頭の中にあるもの。脳の活動が痛みの強さを決めている
痛み研究の権威 米国シカゴのノースウエスタン大学 アプカリアン教授の言葉です。
番組中ではMRIで側坐核の活性を測る最中、ゲームをして貰って成功するごとにお金を支払うという条件下で側坐核の働きが高まりました。お金というのは一つの手段です。分かり易いのは賭け事などですが、要するに
「ドキドキワクワク・嬉しい楽しい・気持ちいい・もっとしたい」という感情が重要だという事です。
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「日本の慢性痛医療の未来」市民公開講座
認知行動療法とは
以下、僕が昔に本を読んだ時の覚書と、その中での理解ですので御参考まで。
まず、「スキーマ」と呼ばれる個人が持っている色眼鏡があります。言い換えると、その人が持つ固有の価値観。『自分が思い込んでいる事実は自分なりの解釈が入っており、客観的な真実とは必ずしも同じではない。』その自分の考え方のクセを認識することで、ストレスの受け止め方を変えることが出来る。というもの
例えば、電車の中で声の大きな老人が居るとします。
- Aさんから見た印象は「元気なお年寄り」
- Bさんからの印象は「煩いデリカシーのない人」
- Cさんからの印象は「耳が悪い人なのかもしれないな」
同じものや人を見ても、それまでの環境、価値観、文化の違い等により、その人の感じ方・行動は変わってきます。
※注意するという選択肢もありますが、コミュニケーションに長けた人でもリスクはあるのでここでは除外します。
身内に同じような人が居れば、Cさんの様に慮ることが出来るかもしれません。最初に「あ、悪気がある訳じゃないんだ」と気づけるかどうかで印象って変わってきませんか? その上で、例えBさんの様に感じたとしても、気になるのなら車両から移ってしまえば済む話です。「自分が悪いわけでもないのに、こちらが移動するのは癪だ」と考えてしまえば、その時間をイライラして過ごさなければなりません。自分が選択して行動することで、イライラから逃れる術はあります。
その時の感情そのものを直接コントロール出来る事は容易ではないが、行動を変える事で不快な感情をなるべく起こらない様に予防していける。もしくは、身体を動かすなどして、視点を変える
というのが、認知行動療法の骨子だったと思います。
番組で紹介していた、「楽しく続けられる身近な目標と、将来的なゴールを設定して、計画・実行・達成を繰り返す」というのも、大きな意味で認知行動療法の一つと言えるのではないでしょうか。
認知行動療法の有効性
認知行動療法は、「亜急性または慢性腰痛の治療に有用である」という最も信頼性の高い推奨グレードAを得ています。
腰痛に対し認知行動療法が有用であるとする多くの報告がある。亜急性腰痛の職場復帰に対する認知行動療法として、腰痛は良好な自然経過をたどるという説明の聴講、運動療法指導、作業療法、腰痛学級腰痛体操などの介入を行った結果、6か月後で復職率に効果があり、12か月以降では休職日数の減少に効果があったとされた。
成人の非特異的慢性腰痛に対し、認知行動療法、自己規制的療法などの精神医学的介入を行う事で、腰痛の程度、期間、うつ状態、日常生活動作、精神状態の改善に効果があったとされている。
南江堂 腰痛診療ガイドライン 12章より抜粋
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心の状態の、身体への驚くべき影響
思い返してみると、自分にも思い当たる事があります。
小学生の頃にスイミングを習っていましたが、鬼の様に怖い先生が居て、いくのが嫌で嫌でしょうがない時がありました(進級するとレーンと担当する先生が変わる)。
不思議なもので、余りに嫌で、拒否反応からか知恵熱が出る様になりました。
きっかり37℃ちょいの微熱で、始まる一時間くらい前から始まって、練習が終わるころにはパタッと平熱に戻りました(笑)
※知恵熱を調べてみると、正式には「ストレス性高体温症」とありました。ちゃんと病名あったんですね。。
運動や日光を浴びたりという外的な刺激なしに、自分の気持ちだけで体温を上げるって、純粋に凄くないですか!! 書いてて、流行っているアドラー心理学の「目的論」を思い出しました。「水泳に行きたくない」という願望が、「熱で水泳ができない」状態を作り出した。目的を達成する手段として、熱を上げるという行動を選んだ。・・・ってな感じでしょうか。
この時はたまたま熱という手段でしたが、身体的な表現は他にも沢山あるのではないでしょうか。頭痛・吐き気・めまい・震え・腰痛・倦怠感… etc
話が逸れましたが、「痛みの原因が必ずあるとは限らない。今は痛みのセンサーが強く働いているのかも」という認識を持つだけでも良いのかもしれません。番組中、ドクターも「人間の痛みを知らせるシステムは、思ってたよりちゃんと出来ていない事が分かってきた」と仰っていました。終わりのない原因探しは一旦棚上げして、簡単な目標から少しずつ小さな成功体験を積み重ねる事をお勧めします!! 自分もそうしよ。。。