マッケンジー法
マッケンジー法症例2 くしゃみからのぎっくり腰|40代主婦
※過去の記事を加筆・修正しました。
ある日の朝、起きて直ぐに知人から「ぎっくり腰で動けなくなった」との連絡が入り
お宅にお邪魔すると、前のめりに倒れたまま動けない状態でした。
朝、家事をしながらくしゃみをした時になったとの事です。
ほんま、どうしよう。
今の痛みの範囲と、痺れの有無は?
痺れがあるかは痛すぎてよくわからん
その時より痛いか、少しマシか、それとも全く変わらない?
今回が初めてのぎっくり腰で、健康状態は良好。過去に大きなけがもなく
注意すべきレッドフラッグ(見逃してはいけない危険な疾患を示唆する徴候や症状)
はありません。
急性腰痛の対処と経過
痛みの場所を確認し、とりあえず急性期の痛みが少し和らぐまで15分おきにインターバルを取りながらアイシングを実施しました。
場所が思っていたより上部で、左の12番肋骨付近。
お年寄りや何らかの理由で骨が弱くなっている人は、くしゃみや激しい咳をきっかけに圧迫骨折をおこす事もあるので少し気になりましたが、骨折や内臓由来ではなさそうなのでアイシングをしながら伺います。
問診と症状から、「椎間板の中身(髄核)が後方に変位して神経に触れているタイプ」と仮定して反応をみていきます。まず、うつ伏せ寝の状態から、少しずつ、少しずつ、痛みの変化を確認しながら伸展位にしていきます。
クッションにしている丸めたタオルの厚みを調整して、少しずつ身体をまっすぐな状態に近づけていきます。
※まだまだ痛みを伴うので、時間をかけてゆっくりと慣らしていきます。
肘で上半身を持ち上げて少し反らしていきましょう。
戻す時、メッチャ痛いんやけど。。。
上体のみ肘で支えるような体勢を維持し、またゆっくりと時間をかけてうつ伏せになる事を数回繰り返します。
←こんな感じです
絶対安静は間違い!!
一昔前は、ぎっくり腰(急性腰痛)は“絶対安静”というのが常識でしたが、それは過去のお話。
なった直後は無理に動く必要はありませんが(動けませんし!)、日常生活は多少痛いながらも動ける範囲で活動する方が予後良好ということが立証されています。
※過去の参照記事 知っておきたい「腰痛診療ガイドライン」について
そうこうしている内に、昼過ぎには何とか座って食事ができる様になりました。
今回は伸展方向がDP:Directional Preference (良い反応を引き出せる運動方向)でした。
確率でいうと伸展方向で改善することが多いですが、腰痛は何でもかんでも反らせば良いという訳ではありません。
症状が悪化する場合もあるため、丁寧にモニタリングして反応から判断していきます。
なった直後はあまりの痛みに気が動転したり、仕事や今後の予定を考えて絶望的な気分になったりもしますが、一旦今の状態を受け入れる事が大事です。
超絶痛いのは、「その時だけ」です。ぎっくり腰であれば命に別状ありませんし、必ず回復していくのでまず痛みの少ない姿勢になって一旦落ち着いてください
今回、初めてのぎっくり腰だという事で幾つか注意点をお伝えしました。
・椎間板のメカニズム
・朝起きて直ぐの動作について。屈曲時の姿勢や身体の起こし方のコツ
・くしゃみの時の姿勢
くしゃみの時の姿勢についての関連記事↓
腰痛予防のコツ①|気を付けたい姿勢と動作
幸い、3日後にはほぼ普段の生活が出来る様に回復されていました。
あんな恰好、旦那も見ぃひんで(笑)
ぎっくり腰は英語で、witch’s shot (魔女の一撃) と言うそうです。
なった人しかわからないあの苦しみ・・・。でも、喉元過ぎれば何とやら。
過去に何度もぎっくり腰を経験した身なので、改めて健康の大切さを感じた一日でした。
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