マッケンジー法
マッケンジー法症例3 長引く腰痛|40代男性教員
引き続きマッケンジー法がどういった症状に適応されるのか、また、どのように治療を進めていくのか、様々な具体例を紹介していこうと思います!!
前回はぎっくり腰。いわゆる急性期の痛みで出来る事が限られましたが、今回は典型的な腰痛の症例についてです。
40代男性 教員 右背中~腰部の痛み
学校で畑での作業があり、スコップを使って中腰でひねる動作を繰り返したり、重量物の持ち運びを3時間程行ったそうです。作業中に少し違和感を感じたがそのまま続けている内に痛みが増し、その後一か月に渡り痛みが持続。過去にここまで長引いたことが無かったので整形外科を受診し腰部のMRIも撮ったが、特に問題なし。
こういった強い腰痛初めてで、ズキズキとした痛み。場所は腰椎の腸骨稜より上に右側の拳一個分で、脊柱より右側の縦の筋肉沿い。
全く痛みがない状態が0 激しく痛むのが10として、痛みの程度は(VAS)6~7。
心身ともに健康。大きなケガや手術、注意すべき重篤な疾患はありません。




●腰椎の可動域
・腰を曲げる動作に中度制限あり。曲げる途中で痛み
・腰を反らせる方向は軽度制限。
・左右に傾ける、ひねる動作に左右差や制限なし
前かがみになると必ず痛みが再現されますので、前屈動作での右腰部6~7の痛みを判断基準(ベースライン)と考えます。
姿勢矯正すると悪い感じではなく、座位姿勢から立つとき、座るときの動作の途中に痛みが有るという情報から、まずは腰を伸ばす方向から反応を見ていきます。
まずは下の様な体勢で、力を抜いて身体を反らせる事に慣らせます(※イメージ図です)
次に、EIL (Extension in Lying) と呼ばれている運動を5回してもらいます。

背中の筋肉を使って身体を反させるのではなく、腰から下の力を抜いて、紐がだらんとなる様に「たわませる」イメージです!

立って腰を曲げてみてもらいますが、少しマシかな?というくらいの様子。
・EIL 5回×3set 微Better?
更に5回を1セットとして、そのまま何セットかしてもらいます。
再び立って腰を曲げてみてもらいますが、あまり変化はありません。
・Re EIL 5回×数set NE(変化なし)
今回は体力のある健康な男性で、伸展方向に問題がないこと分かっているので、少しお手伝いして負荷を強めてみます。


再度、立って腰を曲げてもらうと・・・


・EIL +OverPressure 5回 Abolish (痛み消失)
暫定ですが、マッケンジー法ではスタンダードで重要な考え方の一つであるDerangement、動かすべき方向(DP: Directional Preference)が伸展方向と分類し、初回を終了します。
ホームワークとしてEILを1日5セット。仕事中で腹ばいになれる状況でない時は、合間に立位で腰を反らせる事を意識して行ってもらうようにお願いしました。
翌日
痛くなってきたらその都度、腰を反らせる反復運動をしているそうですが、車の運転などで中腰でいるとすぐに元に戻ってしまうそうです。 運動の継続以外にも、中腰などの前屈姿勢は出来るだけ避け、車の運転中やソファに座っている歳は貸し出したランバーロールを腰にあて、出来るだけ骨盤の前傾を保つ等。気を付けるべき事を再確認します。
過去参照リンク⇒腰痛予防のコツ②|車の運転で腰が痛くなる人
その後3回のフォローアップを入れつつ、3週間を過ぎる頃には腰の痛みはほぼなくなったそうです。症状は一進一退を繰り返しましたが、車に乗る前と乗り終わった後のエクササイズに特に注意してもらいました。
運転することで起こる腰痛の対策は、上記の参考リンクにも記載していますのでご参照ください。
治療院で何かをしてもらう時間より、家で過ごす時間の方が圧倒的に長くで大事です。
どれだけ虫歯を削ったり、詰め物をして上手に治療出来たとしても、毎日の歯磨きを怠ると何度でも再発するのと同じではないでしょうか。
前の症例報告⇒マッケンジー法症例2 くしゃみからのぎっくり腰|40代女性
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