マッケンジー法
マッケンジー法症例4 右首痛と頭痛|40代女性(SE)
40代女性 大手コンピューター会社でシステムエンジニアをしており
少なくても1日10時間以上は椅子に座って勤務、作業は深夜に及ぶことも。
昨年の夏から頭痛と右首の痛みが強くなり、半年以上経った現在も改善されずにいます。
頭痛は目までくる痛みで、良く寝れた翌朝はマシ。首・頭痛共に起きている時だけで波があります。
また会議室の椅子が合わないのか、そこに座ると必ずしんどくなるそう。
副鼻腔炎の診断を受けており、頭痛との関連も考えられそうですが、先入観・思い込みを捨てて評価を進めていきます。
受診時の痛みは0。頭痛も現時点ではありません。
マッケンジー法は、様々な動作から起こる反応・変化を基に考えていきます。明確な症状があればいいのですが、症状が何もないと手かがりが無くなってしまいますので、評価の基準となる「ベースライン」探しが重要な一歩目となります。
頸椎の可動域をみてみると、伸展(頭を反らす)方向にはほとんど動きません。また顎を前に突き出して悪い姿勢を続けてみると、右首の痛みが強くなる事が確認できました。
今回は特に動きの悪い、以下の2つを判断の基準としました。
①伸展 メジャー
②左側屈 サブメジャー
まず1~2分姿勢矯正をして貰いましたが、特に変化は見られません。
次に、顎を水平に引いて貰います。
顎を前に突き出した姿勢に慣れてしまっていると、この動作は少しコツが必要です。
※この顎を引く動作(リトラクション)については過去の症例報告をご参照ください
⇒マッケンジー法症例1 腕を降ろす時の肩の痛み|80代後半女性
一緒にこの動作を何セットか繰り返し、動かし方のコツを掴んでもらいます。
数回やってもらうと、上手に動かせています。 顎を引く動作は問題なさそうです。
時間をかけて、ゆっくりと3セットほどして貰った後に、ゆっくりと頭を後ろに反らしてもらうと、20度ほど上に向ける角度が増えています。
次に、ご自分で顎をひいていただき、出来るだけ顎を引いた状態を保ったまま頭を後ろに反らせていきます。
※次の1分あまりの動画が分かり易いのでご参照ください
完全に顎を引いた状態で反らすのは難しいので、「出来る範囲」から始めます。
繰り返している内に、より可動域が広がってきました。
まだ制限が強そうなので頸椎の下の胸椎が硬いのかと思いきや、椅子に座って背もたれを支点に反らせる動作は非常に柔らかく、胸椎に問題はなさそうです。
一旦体勢を変えて、仰向けで頭の下にクッションを入れて、その状態でクッションを押し込むように顎を引いて貰います。
体勢を変える事でうまく行えそうであれば、本人の一番やりやすい状態で行ってもらいますが、今回は座った状態の方がしっくりくるようです。
首を反らす動作にかなり慣れてきた様ですので、座位姿勢に戻って、より遠くを意識して頭を反らしてもらいます。
もっと行けるところまで頑張ってみましょう!!
顎を水平に引き、出来るだけそのままで頭を後ろに反らす動作を5回を3セット実施。
Re RET + EXT 5回 × 3セット
当初殆ど頭を上に向ける事が出来なかったのが、30分程でほぼ90°上を向ける様になりました。
顎をひいて首を反らすコツを掴むのが早く、積極的な方でしたので、家でのホームワークは「5回1セットとして、一日6セット」して貰う事を目標として初回を終えました。
翌日 メールで状況を伺います。
今日は逆に左が痛いけど。
普段しない動作を繰り返しているので、筋肉の張りは多くの方が感じますが、それはしっかりと負荷をかけられている事の裏返し。手を抜いていたり、エクササイズができていないとそうなりません。※症状の範囲が変化したり、一時的に新たな痛みが発生する事もあります。
そして初診から4日後、メールにて・・・
肩甲骨周りの筋肉痛もマシ。効いてると思う!!
2回目のフォローアップ(初診から約2週間後)
首の可動域(ROM)の再確認 伸展 70°くらい 左側屈 初回とほぼ変わらず
Hwは少なくとも1日3セットくらいは実施できていたそう。
途中まで経過は良好だった様ですが、その後仕事が大変忙しくなり、週末に前の様な痛みが再発したとの事。前よりはマシなようですが、エクササイズのペースが落ちている様でしたので1日6セットという宿題の出し方を変えてみます。
聞き取りで「会議室の椅子に座っての会議」で必ず調子が悪くなると聞いていましたので、その会議室に入る前と出る時に、この首を反らせるエクササイズを実行してもらうようにしました。
この後のフォローアップについては、後日追記していきます!!
前の症例報告⇒ マッケンジー法症例3 長引く腰痛|40代男性
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