健康・身体の事
スタンディングデスクの勧め|普及する立って働くスタイル
- 自分のスタンディングデスク紹介
- 北欧諸国の取組|幸福度ランキング1位 フィンランドの教育現場
- 座り過ぎの弊害 各種データから
- 立って過ごすだけで痩せられる?
- 「座り過ぎ」は心臓だけでなく脳にも悪影響
海外で立って働くスタイルが普及しはじめている背景
北欧、特にデンマークでは労働環境に関するEU指令※のガイドラインを受け、政府機関が国内のオフィスをチェックし、法に沿っていない企業にはペナルティを与えることを可能としたことで、高さ調節可能なデスクがスウェーデンと並び95%の浸透率となっている。
世界幸福度ランキング7年連続首位 フィンランドの取組
2019年1月21日読売新聞1面より
机の上に椅子を置いて、椅子の上で書いてる子供(笑)
教育水準の高いフィンランドで「スクール オン ザ ムーブ」と銘打ったプロジェクトを政府が推進しているそうです。
世界幸福度ランキング2024年(日本は143ヶ国中51位)
※UN Sustainable Development Solutions Network 略称 SDSNの2024年版世界幸福度報告(World Happiness Report)参照
「立って過ごす」だけで痩せられる?
減量したい人は、この研究結果を知れば毎日あと数時間は立って過
ごそうという気持ちになるかもしれません―。「European Journal of Preventive Cardiology」2018年1月31日オンライン版に掲載された米メ イヨー・クリニックのFrancisco Lopez-Jimenez氏らの論文によると、座って過ごす代 わりに立って過ごすだけで、エネルギー消費量が増加することが4 6件の研究データのメタ解析で明らかになったそう。 今回、座っている場合と立って
いる場合のエネルギー消費量を比較検討した46件の研究( 対象者は計1,184人)のデータを解析。対象者の平均年齢 は33歳、60%が男性で、平均BMIは24、平均体重は65k gだった。 その結果、座って過ごす代わりに立って過ごすと、エネルギー消費
量が1分当たり0.15kcal増えることが分かった。これは、 例えば体重65kgの成人が1日6時間のデスクワークをスタンデ ィングデスクでの立ち仕事に変更すれば、1日当たりのエネルギー 消費量が54kcal増えることに相当する。また、 その成人が立って過ごす時間をそのまま維持し、食事の量にも変化 がなければ、1年以内に2.5kg、4年以内に10kg減量でき ると推定された。 Lopez-Jimenez氏は「座って過ごす代わりに立って過
ごすことで得られるメリットは、体重コントロールだけにとどまら ない。立位を保つことに伴う筋力の維持は、心筋梗塞や脳卒中、糖 尿病などの発症リスクの低減にも関連する」と説明。この研究には 関与していない米レノックス・ヒル病院の循環器医であるRach el Bond氏もこれに同意し、「座って過ごすことが心血管疾患のリ スク因子に大きく影響ことは明確に分かっている」 と指摘している。 さらに、解析の対象となった研究
のほとんどが「じっと座っている場合」と「 じっと立っている場合」を比べたものであることに言及し、「実際 には立っていても小さな動きを伴う場合が多いため、実生活で得ら れるメリットはより大きい可能性がある」と指摘。「立っていても 無意識のうちに左から右へ重心を移したり、体を揺らしたり、 前後に足を動かしたりするものだ。また、仕事中に戸棚にファイル を取りに行ったり、ごみ箱にごみを捨てに行ったりするなど、 歩く機会もあるだろう」と同氏は説明している。 原著論文はこちら
Saeidifard F, et al. Eur J Prev Cardiol. 2018 Jan 1. [Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29385357
「座り過ぎ」は心臓だけでなく脳にも悪影響
椅子やソファに長く座り過ぎると心臓だけでなく脳にも悪影響を及
ぼすらしい-。「PLOS ONE」4月12日オンライン版に掲載された研究によると、座っ た姿勢で長時間過ごす人は、新たな記憶の形成に重要な脳領域の皮 質が薄いことが分かった。研究行った米カリフォルニア大学ロサン ゼルス校(UCLA)セメル神経科学・ ヒト行動研究所のPrabha Siddarth氏らは、こうした脳領域の皮質の菲薄化には、座 りがちな生活による運動不足ではなく、座ること自体が関連してい るのではないかと指摘している。 この研究では、認知機能が正常な45~75歳の男女35人を対象
に、日常的な運動量と過去1週間の1日の平均座位時間について尋 ねた上で、脳のMRI検査を実施し、 記憶の形成に関わる内側側頭葉(medial temporal lobe)と小領域(subregion)の皮質の厚さと運動量 および座位時間との関連を調べた。 その結果、座っている時間が長い人ほど内側側頭葉とその小領域の
皮質が薄いことが分かった。一方で、こうした脳領域の皮質の厚さ と運動量との間には関連はみられず、比較的運動をしている人でも 座位時間が長いとこれらの領域の皮質は薄くなっていた。 専門家の一人で米ズッカー・ヒルサイド病院のMarc Gordon氏は「座るという行動全てが脳に悪影響を与えるわけ
ではなく、座っている間に何をしているかで影響は異なる可能性が ある」と指摘する。Siddarth氏らもこの意見に同意を示し ており、「座っていても、クロスワードパズルや書き物、 書類の作成、コンピューターゲームなどで認知的な活動をしている 人と、テレビや映画を見ているだけの人では差があるかもしれない 」と話している。 同氏らは、内側側頭葉の皮質が薄くなることは、中年期以降
に認知機能が低下したり、認知症を発症する前兆である可能性を指 摘し、「座位時間をいかに短くするかが、アルツハイマー病やその 他の認知症を予防する鍵となる可能性がある」と述べている。 さらに、これまでの研究で座位時間が長いと心臓病や糖尿病、早期 死亡リスクが高まることが報告されており、同氏らは「座りがちな 生活を解消することはこれらの疾患の発症や死亡リスクの低減にも 役立つだろう」と付け加えている。 なお、今回の研究では、座ること自体が脳組織の菲薄化の原因であ
るとは証明されていない。Siddarth氏らの研究チームはこ れらの関連を長期的に調べる研究を実施したいと話している。 原著論文はこちら
Siddarth P, et al. PLOS ONE. 2018 Apr 12;13(4):e0195549.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29649304